ANTONELLA RUGGIERO



ANTONELLA RUGGIERO / ANTONELLA RUGGIERO : MERCURY (077 118-2) 2003

WAIT!!たまっていたものを吐き出した感じ!

 2000年の11月に初来日を果たした元マティア・バザールのアントネッラ・ルッジェーロの約1年ぶりのアルバムです。前作『Luna crescente』は2001年の暮れに発表されましたので、正味1年ぶりとなるのでしょうか。2000年の来日の際、ラティーナのインタビューということで特別に会う機会がありましたが、その時に彼女の今の音楽スタンスが3通りあることを知りました。ひとつは今まで通りのポップ・ロック路線、もうひとつはアコースティック・セットでの路線、最後は宗教音楽路線だったのですが、2001年の『Luna crescente』はまさに宗教音楽の美しさを披露した素晴らしい作品に仕上がっており、うちのホリディ・シーズンの定番となりつつあります。 そして今回届けられた本作ではアコースティック・セットの色合いを濃くした聞きやすいアルバムになっています。

 2003年のサンレモ音楽祭出場曲「DI UN AMORE」は、過去に同音楽祭で栄光を勝ち取った時と同様のパッションを持った曲調で、バルカン・エアというボローニャのバンドのヴォーカリストであるアントニオ・ヴォルペとの共作となっており、期待に胸を膨らませてくれましたが、残念ながら9位という結果に終わってしまいました。しかし、その結果とは裏腹に明るいポップスに溢れたアルバムに仕上がっています。ポップスばかりではなく、アンバランスド・セッション・オーケストラを使用した落ち着いた曲調の「E DIREI CHE NON C'E'」や日本公演にも同行していたカルロ・カンティーニのヴァイオリンが美しい「NEL SILENZIO CHE C'E'」など、とても良い曲が多いです。アンナ・オクサのアルバムにも参加していた息子のルカ・コロンボも大活躍しています。家族ぐるみのアルバム制作で、今までたまっていた曲を全部吐き出したような感じが伝わってくるアット・ホームな作品です。



ANTONELLA RUGGIERO / SOSPESA : UNIVERSAL (UMD 77583) 1999

WAIT!!  アントネッラ・ルッジェーロの新作です。99年のサンレモ音楽祭出場曲「NON TI DIMENTICO」はしみじみとしたバラードでしたが、とても地味なイメージがあり第二位に入賞したのが意外に思うほどでした。しかしアルバムの中で聴くと優雅で美しさに満ちており、この1曲を切り取って聴くのは全く意味の無い行為だということが分かりました。プロデュースは相変わらずのロベルト・コロンボで、アントネッラとはベスト・マッチングのようです。96年の『LIBERA』以来インドへの旅や憧れというものが音楽に反映されていましたが、本作でもそれが顕著に感じられ、98年11月の二度目のインド旅行(Bhagawan Sri Sathya Sai Babaの73才の誕生日記念コンサートのため)での経験も存分に活かされているようです。19曲の候補の中から11曲に絞りこまれたということで、どれもが前作で好評だった未来形のトランス・ミニマル・ミュージックを踏襲していてレベルの高い音楽性を持っています。本作の最後に収められている「AND WILL YOU LOVE ME」はエンニオ・モリコーネのペンによるオーケストラを従えた壮大なバラードで、昨年秋にオン・エアされたTV映画「I GUARDIANI DEL CIELO」のテーマ曲として作られたものですが、アントネッッラの”ハリウッド”をバックに堂々とした歌いっぷりはバーブラ・ストライザンドを思い起こさせます。この1曲だけずいぶんと感じが違いますが、アントネッラの無垢な声に聴き入ってしまい、まるで「ONCE UPON A TIME IN THE WEST」のような女性コーラスが出て来るころには思わず涙が出そうになってしまいました。この曲だけのために本作を買う価値は十分にありますが、彼女のソロ作品の中では最高傑作であるとも断言しておきましょう。



ANTONELLA RUGGIERO / REGISTRAZIONI MODERNE : UNIVERSAL (UMD 77534) 1997

WAIT!!  1952年11月15日ジェノヴァ生まれのアントネッラ・ルッジェーロはマティア・バザールの紅一点の歌姫として君臨していましたが、89年に脱退ししばらくの沈黙後96年に初のソロ・アルバムである「LIBERA」を発表しました。内容はアラブの民謡をポップスにアレンジしたようなものでした。今回は古巣であるマティア・バザール時代の楽曲のセルフ・カヴァー・アルバムとなっています。面白いことに一曲ずつ違ったバンドを起用し、全くテイストの違った雰囲気をかもし出しています。このアイデアはおそらくプロデューサーのロベルト・コロンボによるものと思われますが、中々良い成果を生んでおり、新しいセルフ・カヴァーの様式を作ったと言えます。全曲とも96年に出た公式ベスト盤「TUTTO IL MEGLIO DEI」に入っていた曲ばかりで、元曲との聴き比べをしても楽しいでしょう。


ITALIAN ARTIST CHRONICLE