千年に一度の声と呼ばれるフィリッパ・ジョルダーノの新作が届きました。昨年秋にはすでに3度目の来日公演を済ませているフィリッパですが、その時に披露された数曲のクラシック・オペラと、新曲を取り混ぜた全16曲入りの豪華盤です。一聴して分かるのが、彼女の成長の度合でしょう。どの曲も前作までのようにイン・テンポで歌うのではなく、あくまでも自分のテンポ感で歌っており、すでに余裕さえ感じ取ることが出来ます。彼女の下積みが長かったこともあるでしょうが、それよりもメジャー・デビューしてからの輝かしき功績が、勝手に彼女の実力を押し上げたような感触です。
今回もシュガー・レーベルの代表であるカテリーナ・カセッリの手腕が良く発揮されており、プロデューサーにエンリケ・イグレシアスのヒットで知られるロビン・スミス、イタリア側スタッフはリッカルド・チミーノをアサインし、アレンジや作曲ではレナート・ゼロ
のペッペ・セルヴィッロとデュエットを聞かせるなど、ほとんどごった煮か闇鍋に近い状態と化しています。それでもアルバムとしてのグレードは超一級でまとまっているのは奇跡としか言いようがありません。さらに日本のファンのために最後の曲「母なる大地の歌」は日本語で歌ったヴァージョンをシークレット・トラックにして収録するなど、サービス満点です。今度もロング・セラー間違いなし、一家に一枚の必需品となることでしょう。
FILIPPA GIORDANO / FILIPPA GIORDANO : SUGAR (WPCS-10430) 1999
すでにCD店頭などでは盛り上がりを見せている大型新人ディーヴァ、フィリッパ・ジョルダーノは、1974年2月14日にシチリア島のパレールモに生まれました。祖父は伝統的なストリート・ミュージシャンで、父はバリトン歌手、母はメゾ・ソプラノ歌手、兄はチェリストで姉はピアニストという、まさに音楽一家の環境下で育っています。彼女が5才の時にローマに移住、クラシック音楽とクラシック・バレエを習い始めます。9才の若さで国立ダンス・アカデミーに入学しますが、16才の時に音楽に専念することを決め、オペラ歌手の道へと進みます。しかし90年代に入ると突然ポピュラー歌手となることを誓い、93年以降ルーチョ・ダッラやエロス・ラマゾッティのツアーにコーラスで参加しますが、97年にミュージカル『テレビを発見した男』に歌と踊りで参加した時にカテリーナ・カセッリの目にとまり、98年に見事シュガー・レーベルとの契約にこぎつけました。99年には念願のサンレモ音楽祭に初出場し、「新人部門」で堂々2位に入る活躍をしています。
本作は彼女の世界向けアルバム第一弾ですが、あのアンドレア・ボチェッリ
を輩出したシュガー・レーベルだけに、ポップスとクラシックの両ジャンルでの活躍が期待出来、内容もかなりいけてます。約半分がオペラのスタンダード、残り半分がオリジナル曲という構成ですが、プロデュースにはディスコ・バンド出身のチェルソ・ヴァッリや、テイク・ザットで一躍有名になったマルコ・サビウが担当しており、またボチェッリの名曲「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」を作曲したレ・オルメ出身のフランチェスコ・サルトーリが楽曲を提供するなど、力の入り具合が手に取るように伝わって来ます。さらに「LOST BOYS CALLING」は映画『海の上のピアニスト』の主題歌で、元ピンク・フロイドのロジャー・ウォータースとエンニオ・モリコーネとの共作曲となっており、あまりの美しさに一瞬時間が止まってしまうほどです。(ただし、映画ではロジャー・ウォータースによる歌唱) 99年のサンレモ音楽祭入賞曲「UN GIORNO IN PIU'」をリアレンジした英語ヴァージョンの「MARIA」は、マリア・カラスへのオマージュ・ソングとなっています。このインターナショナル盤はイタリア盤より1曲多い12曲が収録されており、日本盤は1月26日に発売されます。