ALBERTO FORTIS / ALBERTO FORTIS : PHILIPS (846 409-2) 1979
アルベルト・フォルティスは、1955年6月3日にスイス国境にほど近いドモドッソーラに生まれましたが、すぐに養子としてミラノに移り住み、そこで音楽に囲まれた生活を送りました。彼の歌手としてのキャリアは、10代の時友人たちの前で歌うことから始まりました。アルベルトの才能に気付き、最初に契約を交わしたのはグラーツィア・ディ・ミケーレやマリオ・カステルヌォーヴォ、アルトゥーロ・スタルテリなどの新鋭アーティストたちを輩出した”ITレーベル”でしたが、残念ながらこのレーベルとの契約期間中にレコードは出せませんでした。次に彼に注目したのが、名プロデューサーのクラウディオ・ファビで、彼はアルベルトを79年夏のPFMのツアーに同行させます。そしてツアーの終了後、PFM全員のバックアップを受けて本ファースト・アルバムを制作しました。 音楽的には同年のPFMのアルバム『PASSPARTU'』に近いアコースティック楽器をメインとしたほのぼのとしたものですが、随所にポップ化したPFMらしさが出ており、明るく楽しい作品に仕上がっています。アルベルトの声は、エロス・ラマゾッティほどではありませんが、結構ハイ・トーンで、どちらかと言えばPFMのベルナルド・ランゼッティを彷彿とさせます。「MILANO E VINCENZO」なる曲は、ミラノの”ITレーベル”時代にお世話になった名ディレクターのエンツォ・ミコッチを皮肉っており、早くもアルベルトの風刺性が良く出ています。演奏は全体的におとなしめですが、キーボードのプレモリがひとりではしゃいでシンセなどを弾きまくっています。彼の大胆で素敵なキーボード・プレイから、後のソロ活動やロッサーナ・カザーレのプロデュースへの布石が見て取れると言ったら、少し考え過ぎでしょうか。