GORAN KUZMINAC / GLI ANGOLI DEL MONDO : MP RECORDS (MPRCD025) 1999 本作はベスト盤を含む7枚目のフル・アルバムになりますが、正直言ってとても良い作品だと思います。90年代のフォーク・シンガーらしい音作りに、私好みのしゃがれた低音の声、そして何よりもアコースティック・ギターの響きが透明感に溢れています。今までに付き合って来た全ての著名アーティストの良いところばかりを盗んだような完成度の高さと、やすらぎのメロディーは深夜にひとりで聴き込むには打って付けです。最近仲良くなったMPレコードの社長が自ら考案したという、世界初の「水の入ったジャケット」であるアクア・パックの手ざわりも抜群です。ぜひお手にとってその感触を確かめてみて下さい。
ユーゴスラヴィア生まれのゴラン・クズミナクは、高校卒業後イタリアに移り住み、パドヴァ大学の医学部へ進みます。独学でギターを練習し始め、フィンガー・ピッキングの最高のテクニックやピチカートによるアルペジオなどの技術をアメリカのカントリー・ミュージックから学びました。74年からミラノとローマを中心にセッション・ギタリストとしての仕事を始め、75年にはフランチェスコ・デ・グレゴーリと出会い彼の所属するレコード会社であるITとの契約にこぎつけます。フランチェスコはさっそくゴランをピエロ・ルネーレのガイオ・キョッキョに紹介し、ガイオの協力でデビュー・シングル「IO」を発表しました。それがきっかけとなり、ゴランはアントネッロ・ヴェンディッティやアンジェロ・ブランドゥアルディ、ルーチョ・ダッラのレコーディングに参加するようになります。79年には新人の登竜門であるカストロカーロやヴェネツィア音楽祭の”銀のゴンドラ”にも出場しています。ファースト・アルバム『HEI, CI STAI!』は80年に発表されましたが、注目すべきは同年に作られたイヴァン・グラツィアーニとロンとのスーパー・セッション・ミニ・ライヴ・アルバムでしょう。バンド形式をとっていますが、ロンがピアノ、イヴァンがエレキ、ゴランがアコギを担当し、元スターディオのファビオ・リベラトーリがシンセで参加していました。