MINA



MINA / DALLA TERRA : PDU (4996212) 2000

WAIT!! 神聖な気持ちで新世紀!

 女王ミーナの新作は、彼女としては珍しい(というより初めての?)宗教曲集的な作品となっています。 今回もやってくれました、変態ジャケット。 まずエンボスと切り込みの入った外箱に、24ページのブックレット、そしてCDシングルに使われる薄型PケースにCDを入れて、全部通常のCDサイズに収まるという、異様な作りです。 宗教曲と言えば、アンジェロ・ブランドゥアルディアリーチェバッティアートなどがすぐに浮かんで来ますが、アントネッラ・ルッジェーロも宗教曲を演奏するツアーを続けるなど、ちょっとしたブームとも言える状態のようです。

 アントネッラにインタビューした時に彼女も言ってましたが、2000年という世紀末を迎えるにあたって大抵のアーティストたちは「今何をやるべきか」を真面目に考えた時に、節目として自分が聴き親しんで来た宗教曲を歌いたくなるのではないかということでした。 ミーナにもそれがそのまま当てはまるかは分かりませんが、少なくとも世紀の変わり目を意識したことは間違いないでしょう。 さて肝心の内容ですが、11世紀くらいからの詩に曲を付けたもの、17世紀以降の曲をアレンジしたものなどで構成されています。 フルオーケストラ、グレゴリオ聖歌隊、マッシミリアーノ・パーニやダニーロ・レア等による近代的なアレンジなど、重い曲調の中にも聴きどころの多い作品に仕上がっています。 還暦を迎えたミーナの新世紀の活躍にも、どうやら目が離せそうにありません。



MINA / No.0 : PDU (4961752) 1999

WAIT!!レナート・ゼロのカヴァー集

 女王ミーナの進撃はとどまるようすがありませんが、全曲レナート・ゼロのカヴァーで括られたアルバムを出してくれました。 冒頭の新曲「NERI」では、ゼロ本人もデュエットで参加しており、あの『ミーナ・チェレンターノ』のような重厚で印象的な歌のかけ合いを聴かせてくれます。 2曲目はゼロのレパートリーの中でも珠玉の1曲である「IL CIELO」のメロディーがこれでもかと襲って来ます。 また、個人的に大好きな「AMICO」のしっとり感も素晴らしいものです。 ゼロの最新作から「CERCAMI」も取り上げており、新旧取り混ぜたゼロの世界が心地よいのですが、ミーナが歌っていても何の違和感を感じさせません。 ぜひこの世紀の融合をお楽しみ下さい。



MINA / OLIO : PDU (PDU 90062) 1999

WAIT!!  ミーナの2年ぶりのオリジナル・アルバムです。とは言え、98年はミーナ・チェレンターノの大ヒットがあったため、イタリアでのミーナの存在がひときわ注目された年になりました。その『ミーナ・チェレンターノ』の完成度の高さもあって、つい最近まで頻繁にミーナの声を聴いていたような気がしていて、「もう新作?」と思わず言ってしまいそうです。 中味の方は相変わらずの完成度ですが、アウディオ・ドゥエのプロデューサーとしても活躍しているミーナの息子のマッシミリアーノ・パーニが初めてアレンジメントで堂々とクレジットされており、いよいよ彼の時代が到来かと期待せざるを得ません。ミーナと言うとどうしてもナツメロ・カンツォーネ歌手だと思う人が多いようですが、女性は年を取れば取るほど熟成していき、現在の若い世代の音楽をも内包した全く新しい感性で歌ってくれるので、本当に勉強になります。90年代もずーっとアグレッシヴな曲調で来たミーナですが、本作では全体的に落ち着いたミドル・テンポの曲が多く、日本の演歌歌手と同じく意識的にシャープさせた歌い方やお得意のしっとりとしたバラードなど、年齢の重みを十分に感じ取ることが出来ます。フィル・コリンズの「夜の囁き」のイントロのリズム・マシーンをサンプリングした「STAY WITH ME」では、リトゥフィバのピエロ・ペルーがゲスト参加しており魅惑のバリトン・ヴォイスを聴かせてくれます。 (おそらく)初回盤のみ100ピースのジグソー・パズルがおまけに付いており、ミロのヴィーナスと化したミーナのポートレイトを作 れます。



MINA CELENTANO / MINA & ADRIANO CELENTANO : PDU (RTI 90012) 1998

NOW LOADING!!  "夢の共演"というのは、こういうアルバムのことを言うのでしょうか。女王ミーナとイタリアのロックンロール・キングのアドリアーノ・チェレンターノの楽しいデュエット・アルバムです。チェレンターノは1938年1月4日ミラノ生まれですから、すでに還暦を迎えています。58年にミュージカルからデビュー、映画にも多数出演し、その細おもての甘いマスクでたちまちイタリア中の女性を魅了し、60年代の男性ヴォーカル人気投票では「モランディかチェレンターノ」という程の人気者でした。ミーナもチェレンターノもデビューから40年経っていますので、二人ともイタリアン・ポップスの生き証人と言えます。私は何十年もイタリア音楽を聴いて来たわけではないので、この二人の間柄を知るよしもありませんが、二人とも現在も活発に活動しているのには頭が下がります。さて、かわいいイラストで飾ったこのアルバムは、特殊紙ジャケット・パッケージで出来ており、なんと66ページにも及ぶ分厚いブックレット仕様になっています。まずは表紙にあるドナルド・ダックと思しきキャラクター(モリーとデスティーノ)によるアニメが15ページ、歌詞関係が14ページ、残りが全部カラー写真という構成は最近のCDではちょっと贅沢すぎます。しかし、その分レコーディングの時の和気あいあいとした風景や、二人の親密度が伺えてとても楽しい気分になります。音楽的にはまさに"今"の二人そのものです。落ち着いた、でも重量感のあるアレンジは最近のミーナと抜群のコンビネーションを聴かせてくれるマッシミリアーノ・パーニで、スタジオはミーナのお気に入り(又は所有?)のGSU、エンジニアはカルミネ・ディーと、全部ミーナまわりで固めているところがアルバム全体の印象を硬質にしています。シングル「ACQUA E SALE」も大ヒットしている本作は、イタリアン・ポップス愛好者は必携の一枚でしょう。



MINA / LEGGERA : PDU (PDU 11692) 1997

NOW LOADING!!  女王ミーナ渾身のアルバムです。アルバム・チャートで1位、シングル「RESTA LI'」もベスト10入りするなど強力な復活を果たしています。本名アンナ・マリア・マッツィーニは1940年3月21日生まれですから2000年で60才になりますが、声質こそ変わったものの歌いっぷりは前以上の素晴らしさがあります。最近のミーナの凄いところは、年齢に関係なくその時代に最も適したポップスを聴かせてくれることでしょう。どんなジャンルの曲でもミーナが歌えばミーナの曲になってしまうところは他のどのアーティストにも真似が出来ません。本作の目玉はシンプリー・レッドのミック・ハックネルの手による素敵なバラード「SOMEDAY IN MY LIFE」をミック自身と共にデュエットしていることでしょう。「HOLDING BACK THE YEARS」や「二人の絆」よろしく生のストリングスが大人の演出をしています。この「SOMEDAY IN MY LIFE」は後に発売されたシンプリー・レッドのアルバム『ブルー』にミックの独唱ヴァージョンで収録されました。90年代になっても良質なアルバムを次々に出して来るミーナのひたむきな姿勢は本当に感動的です。


ITALIAN ARTIST CHRONICLE