PINO DANIELE



PINO DANIELE / CONCERTO : RCA (74321 912922) 2002

WAIT!!熱いパッションを秘めた静かなるライヴ

 ピーノ・ダニエーレの新作ライヴ盤は、なんとバックがほとんど女性という珍しい編成でのアコースティック・セットとなっています。最近はインドやらアフリカなど、ナポリとは違った環境に対する曲作りが多かったピーノですが、彼が本来持っていたジャズの世界へのアプローチが往年の曲を不思議な雰囲気へと誘ってくれます。演奏された曲は、デビュー・アルバム『TERRA MIA』より、タイトル曲と名曲「NAPULE E'」、セカンド『PINO DANIELE』より「VIENTO」、「BASTA NA JURNATA E SOLE」、「CHI TENE O MARE」の3曲を歌い、サード『NERO A META』から「QUANNO CHIOVE」と「ALLERIA」、さらに『VAI MO』から「SULE PE PARLA」、『MUSICANTE』から「LAZZARI FELICI」を取り上げるなど、最初期の曲がかなりを占めてしるのが、興味深いところです。

 途中、気付かないように何気なく新曲が2曲収録されており、この2曲はスタジオで録音されたもののようです。「BEL ORIZZONTE」はコーラスで参加したカラム・ムーラッドのアラビア詞、ミア・クーパーの英語詞が光るロック・バラードで、「UN CIELO SENZA NUVOLE」は軽いタッチのボサ・ナンバーです。「枯れきった」といっても過言ではないピーノの歌声は、これから先にどういう音楽の方向を示してくれるのか楽しみです。



PINO DANIELE / LIVE @ RTSI : S4 (5015812) 2001 : DVD(2013249)

WAIT!!なんか熊のプーさんみたいな人

 ピーノ・ダニエーレの動く姿が見れる貴重なライヴ作品です。 1983年の3月26日のスタジオ・ライヴ形式での収録ですが、とてもリラックスした雰囲気が伝わって来ます。 想像以上にラフな格好のピーノですが、演奏は驚くほど素晴らしいものです。 メンバーはトニー・エスポジート(パーカッション)、トゥーリオ・デ・ピスコーポ(ドラム)、ジョー・アモルーゾ(キーボード)、リーノ・ズーゾロ(ベース)、エリア・ローザ(サックス)、ジェンナーロ・ペトローネ(ギター)という、とんでもないメンツが揃っており、特にジョー・アモルーゾはプログレ・バンドのルーナ出身ということもあり、彼のキーボード・テクニックの方に目が釘付けとなってしまいました。 曲目はデビュー作『TERRA MIA』から『BELLA'MBRIANA』までの5枚のアルバムからまんべんなく選曲されており、初期ピーノの集大成として楽しむことが出来ます。バンド演奏による「NAPULE E'」も感動出来ます。



PINO DANIELE / NAPULE E' RACCOLTA COMPLETA : CGD (8573 85889-2) 2000

WAIT!!ピーノの歴史を完全網羅!

 ピーノ・ダニエーレの長い活動の歴史を一気に網羅出来る、待望の2枚組ベスト盤が発売されました。なぜ「待望」なのかといえば、ピーノが過去に在籍して来た2つのレーベルの音源を初めてひとつにまとめたからです。今まではEMI盤とCGD盤に分かれてそれぞれのベスト盤が発売されて来ましたが、本作をもって決定版といえるでしょう。最近BMGへ移籍後初で、より無国籍色を強調したアルバム『MEDINA』を出したばかりですが、ピーノの移籍が決まったために急遽編成されたベスト盤という考え方も出来ます。CGDにとっては、イ・プーと並んで長寿のレーベル所属アーティストだっただけに、ドル箱がひとり減って残念で仕方ないことでしょう。

 選曲に関しては2枚組ということもあり、デビュー作から98年のCGD時代のリレコ・ベスト盤からの収録曲に至るまで、ほぼまんべんなく選ばれています。誰もが思い入れの深いだろう「NAPULE E'」から、アンナ・オクサがカヴァーした「QUANDO」や「ANNA VERRA'」、そして初期のジャズ・テイスト溢れるスピーディーな曲に至るまで、万人に受け入れられるイタリアン・ポップスの真髄を楽しむことが出来ます。各曲の音量のバランスが悪いのと、ライヴ盤からの抜粋では拍手の音がぶつ切りになっているなど若干の不満もありますが、本人不在のベスト盤としては文句なしといったところでしょう。



PINO DANIELE / MEDINA : BMG (74321 835222) 2001

WAIT!! 声は枯れたが、野太い音楽は健在?

 ピーノ・ダニエーレの24枚目のアルバムにしてBMG移籍第一弾が到着しました。  オリジナル盤としては2年ぶりという、ここ最近の自分のペースをしっかりと守っています。 もともと彼にはペースメーカーが入っているそうで、激しい動きや長時間の飛行機など、体の負担になることは出来ないということで来日公演などは絶望視されていますが、本作にまつわるイタリア国内ツアーは24本も予定されており、心配だけど見てみたいという気持ちにかられます。 実際にピーノのコンサートに行った人に聞くと、終演後の彼はぐったりとしていて口もきいてもらえず、マネージャーが印刷されたサインをファンに配っていたそうです。

WAIT!! 体の調子を考えると、この先もずっと音楽をやっていけるのか心配ですが、本作を聴く限りではその心配は無駄なようです。 前作では灼熱の太陽の下で演奏されたような熱い音楽を聴かせてくれましたが、今回はアラビア音楽に根ざした相当に野太い民族風ロックを聴かせてくれます。 音圧も今まで聴いたことのなかったほどのレベルで入っており、まさに「圧倒」という言葉がぴったりの作品です。 起用したミュージシャンはマイク・マイニエリ、ピーター・アースキン、ビクター・ベイリー、レイチェルZ、ミア・クーパーなど、いつも通りの納得の布陣ですが、ゲストは今回はイタリアの若手ユニットの99ポッセをはじめ、サリフ・ケイタ、アラブ系若手ナンバーワンのファウデル、ロフティ・ブシュナクなどで固めています。 本作は今までにない方向性を打ち出してはいますが、ピーノの枯れた歌声と甘いメロディー・ラインは健在で、毎日聴いても全然飽きません。イタリア人のパワーを感じさせる1枚です。



PINO DANIELE / COME UN GELATO ALL'EQUATORE : CGD (3984 26955-2) 1999

WAIT!!  ピーノ・ダニエーレの2年ぶりのオリジナル・アルバムです。タイトルにもなり本作のテーマとも言える「赤道上のジェラートみたい、君がいなけりゃ僕は太陽の中の雪になってしまう」という言い回しを上手く使いラブ・ソング調にしていますが、赤道というキーワードに引っかけていかにも暑そうな演出をしています。「このアルバムは灼熱の太陽と即興性のある音楽感覚でいっぱいのアフロ・ブルースで出来ている。」とピーノ本人も語っている通り、ルーズな感覚とむせるような暑苦しさ、アフロ・パーカッションにレゲエやサンバまで飛び出してピーノ流の”夏”を演出しています。「イタリアン・カンツォーネの新しい形を提案しているんだ。21世紀の音楽からではなく、伝統的で偉大な地中海音楽から影響を受けている。」と言っているように、本作こそが未来形のイタリアン・ポップスの道標になり得るという自信の表れがタイトルにも反映されているようです。今までもジョヴァノッティ、イレーネ・グランディジョルジア、ノア、アルマメグレッタといった若手アーティストを効果的に起用して来た彼ですが、今回もアルマメグレッタのヴォーカルのライスの参加で再び前作『DIMMI COSA SUCCEDE SULLA TERRA』に似た中近東フレーズが顔を覗かせたり、ロッサーナ・カザーレのジャジーな絡みもグッドです。全体的な印象としては91年の『UN UOMO IN BLUES』を想起させますが、ブルースというのはあくまでも気持ちの問題であり、音はまだまだ熱いロックを聴かせてくれます。



(THE BEST OF) PINO DANIELE / YES I KNOW MY WAY : CGD (3984 22818-2) 1998

NOW LOADING!!  1955年3月19日生まれのピーノ・ダニエーレ待望の正規ベスト盤です。今までにも4枚ほどのコンピレーション盤がありましたが、レーベルがEMIとCGDにまたがっていたため、どれも決定版とは言い難いものでした。今回は書き下ろしの新曲を含め、全16曲中11曲が新録という豪華盤で、選曲もほぼ決定版と言えるでしょう。まずは新曲でシングルとしても大ヒットしているフォーク・タッチの「AMORE SENZA FINE」、もともと「YES I KNOW MY WAY」というタイトルの曲の歌詞を書き変えて、85年に全米No.1ヒットを持つシンプル・マインズのヴォーカリストのジム・カーとギターのチャーリー・バーチルをゲストに迎えて作られたハウス調の「SENZA PECCATO」、アカデミア・ムジカーレ・イタリアーナ(ストリングス)とドラムの名手ピーター・アースキンとピーノのギターとで奏でる素晴らしいインスト・バラードの「PER TE」はかなり泣けます。その他、ロベルト・ムロロドゥルピなどにカヴァーされている、デビュー・アルバムの1曲目だった超名曲バラード「NAPULE E'」の再演は本当に嬉しいもので、アンナ・オクサもカヴァーしたバラード「ANNA VERRA'」も最高です。限られた曲数の中で80年のサード・アルバム『NERO A META』から3曲も選曲されて再演しているところを見ると、この頃がピーノにとって音楽的にも思い入れ的にも重要な時期だったことが分かります。最近はジョルジアなど他のアーティストのプロデュースにも忙しいピーノの今後にますます期待が出来る好盤と言えるでしょう。



PINO DANIELE / DIMMI COSA SUCCEDE SULLA TERRA : CGD (0630 17593 2) 1997

NOW LOADING!!  1955年ナポリ生まれのジュセッペ”ピーノ”ダニエーレの、77年デビュー以来なんと通算21枚めのアルバムです。もともとジャズ・ロック・バンド上がりの彼は、カンタウトーレ(自作自演歌手)としては珍しくジャズのエッセンスをふんだんに取り入れ、常に変わったキャスティングで我々の予想を破ってくれます。今までにピーノに関わったミュージシャンは、ウェイン・ショーター、アルフォンソ・ジョンソン、スティーヴ・ガッド、リチャード・ティー、ジェリー・マロッタ、メル・コリンズ、ラルフ・タウナー、チック・コリア、マヌ・カッシェ、マイク・マイニエリという英米勢に、トニー・チッコ、アゴスティーノ・マランゴーロ、ジョー・アモルーゾ、トゥーリオ・デ・ピスコポというイタリア勢もそうそうたるメンツで盛り上げています。今回もいつも通りのピーノ・サウンドがうれしいのですが、彼のしゃがれた声がたまらない人には打ってつけの曲調が並びます。また、パット・メセニーによってデビューしたイスラエル出身のシンガー、”ノア”が1曲作詞とヴォーカルで参加、 いかにも中近東という曲調が心地好い出来です。


ITALIAN ARTIST CHRONICLE