UMBERTO TOZZI


UMBERTO TOZZI / THE BEST OF : CGD (092747263-2) 2002

WAIT!!イタリアン・ヴォーカルの真髄を堪能する

 ウンベルト・トッツィの2枚組のベスト盤が発売されました。99年には新録音&新アレンジによるベスト盤『BAGAGLIO A MANO』がありましたが、オリジナル録音によるベスト盤は初めてといって良いでしょう。インナー・ジャケットを見る限り、トッツィは23枚のアルバムを発表しているようですが、76年のデビュー・アルバム『DONNA AMANTE MIA』からまんべんなく選曲されており、さらに全てが時系列で並べられているため、トッツィの音楽の変遷が手に取るように分かります。彼にとって重要な転機は2箇所あり、ひとつは82年にローラ・ブラニガンによる英語版「グロリア」が全米2位に上がる大ヒットを記録した時、そしてもうひとつは90年代に入ってからプロデューサーのジャンカルロ・ビガッツィと分かれた時でしょう。前者ではディスコ界のヒーローのような扱いになり、まんまとビガッツィの思惑にはまったようになりましたが、後者ではそのビガッツィと離れたために骨太のサウンドに変わり、大人のロックの魅力が増しています。

 本ベスト盤では新曲が入っており、オサージュ・トリベも真っ青のインディアン・ソング「E NON VOLO」と軽快なロックの「ANGELITA」の2曲が冒頭を飾り、巻末に収録された「GLI ALTRI SIAMO NOI」、「GLORIA」、「TI AMO」の3曲の貴重な英語ヴァージョンは必聴です。特に「グローリア」にまさか彼自身の歌唱による英語版があったとは驚きました。また、英語による違和感たっぷりの「YOU AND I (TI AMO)」は涙なしには聴けません。トッツィのヴォーカルはいわゆるダミ声に近いしゃがれた声ですが、それが妙に糸を引いて頭から離れません。みなさんも一度はトッツィ・ワールドに浸ってみて下さい。



UMBERTO TOZZI / UN'ALTRA VITA : CGD (8573-81975-2) 2000

WAIT!!  ウンベルト・トッツィの19枚目のアルバムです。 99年の11月にスタジオ入りして、今年の2月16日に完成しています。 相変わらずの「険しい目つき」の彼ですが、最近こころなしか優しくなったように見えるのは、年のせいでしょうか。 アレンジャーのマルチェッロ・デ・トッフォーリを中心に、演奏しているメンバーは97年の『ARIA & CIELO』以来変わっていません。 そのあたりも安心して聴ける要因となっているのでしょう。 サウンドもアコースティック・ギターを中心に、かなりコンパクトなコンボ・スタイルとなっていますが、トッツィの上手いヴォーカルにぐいぐいと引き込まれます。 

 曲に関しては、前作が大ヒット曲ばかりを集めたベスト盤だったため、やや地味な印象を受けますが、『ARIA & CIELO』と同等かそれ以上のクォリティであることは間違いありません。 2000年のサンレモ音楽祭出場曲「UN'ALTRA VITA」は流麗なバラード調の佳曲ですが、アルバムの流れの中で聴くのが良いようです。 個人的には2曲目の「THANK YOU VERY MUCH」のメロディー・ラインや、8曲目の「SCIVOLANDO」のダイナミック・レンジにわくわくします。 歌の上手さは天下一品(ラーメンではない)ですので、みなさんぜひ聴いてみて下さい。



UMBERTO TOZZI / BAGAGLIO A MANO : CGD (3984 27855 2) 1999

WAIT!!  ウンベルト・トッツィは1952年に北イタリアのトリノで生まれました。小学生のころから音楽に熱中し始め、72年にポップ・グループのストラーナ・ソチエタを結成し、同年全米9位になる大ヒットを飛ばしたホット・バターの名曲「ポップ・コーン」のカヴァーでデビューします。この「ポップ・コーン」はイタリア国内だけでさまざまなアーティストによってカヴァーされましたが、ストラーナ・ソチエタのヴァージョンが一番ヒットし、72年の年間シングル・チャートで堂々18位に入っています。(ちなみに17位はグァルディアーノ・デル・ファーロの「かもめの歌」でした。)

 その後新興レーベルであるヌメロ・ウーノの専属ギタリストのマッシモ・ルカを含むダータなる3人組のコーラス・グループを結成し、74年に唯一のアルバム『DATA』を発表します。レーベルのイメージと物憂げな曲調からプログレの範疇で語られることの多いアルバムですが、トッツィは今までにプログレを演奏したことは一度もありませんので、そのあたりから彼に対する認識を改めなくてはなりません。

 その後76年にファウスト・レアーリに提供した「明日への道(IO CAMMINERO')」が大ヒットしたために、同じCGDレーベルからプロデューサーに凄腕のジャンカルロ・ビガッツィを迎えてアルバム『DONNA AMANTE MIA』でソロ・デビューを果たしますが、ダータでも既に披露されていたトッツィならではの哀愁のメロディーが満載の素晴らしい作品に仕上がっていました。77年にはシングル「TI AMO」がクラウディオ・バリョーニを押さえて年間チャート2位になる大ヒットを飛ばし、早々に快進撃が始まります。翌78年には「TU」が年間4位、79年にはローラ・ブラニガンに先がけて「グロリア」が年間14位、80年は「STELLA STAI」が年間21位、82年は「EVA」が年間43位、83年は「NELL'ARIA C'E'」が年間46位という信じられないような業績を残しています。WAIT!!87年にはサンレモ音楽祭にモランディルッジェーリとともに出場、トリオで歌った「SI PUO' DARE DI PIU'」が優勝するという成果を出し、さらにユーロフェスティヴァルでラフとデュエットした「GENTE DI MARE」も大ヒットし、なんと87年の年間シングル・チャートでは「GENTE DI MARE」が7位で「SI PUO' DARE DI PIU'」が9位に入るという奇跡も起しています。

 さて、本作は91年の『LE MIE CANZONI』以来のベスト盤になりますが、新曲2曲を含む全曲新録(1曲を除く)になっており、彼の特徴であるメロディーの美しさを活かした選曲・アレンジともに涙なしには聴けない最高の作品になっています。当時はディスコだった「グロリア」のアレンジがハード・ロック調になったり、名曲「SI PUO' DARE DI PIU'」のソロ・ヴァージョンも素敵です。アルバムを聴きおわった時のせつない気持ちは一体何なのでしょうか。顔は恐いですが、とにかく今まで聴かず嫌いだった人にこそ聴いて頂きたいアルバムです。私にとっては、すでに今年度のマイ・ベスト10の最上位に確実に入れたいと思うほど狂ったように聴いています。最高のお薦め! 



UMBERTO TOZZI / ARIA & CIELO : CGD (3984 20118-2) 1997

NOW LOADING!!  ウンベルト・トッツィの一年振りの新譜は、おそらく初めて全曲の歌詞を巨匠モゴールに依頼した意欲作と呼べるものになっています。モゴールと言えばルーチョ・バッティスティとのコンビが有名ですが、本作のアルバム・タイトルや韻を踏んだ見た目にも美しい歌詞など、イタリア語が読めない私達にもやさしく入って来る魔力を持っています。さて、モゴールのオーラを感じたのか、今回のトッツィはここ最近のエレクトリカルなロック路線が限りなく鳴りを潜めたナチュラルなポップスを聞かせてくれます。作曲のみに専念出来たせいか、どこか初期のトッツィの曲調に戻っています。特にバラードでのメロディー・ラインはここ数作には決して聴くことの出来なかった美しさがあります。マイ・ペースながら、着実に大人の魅力を増して来たトッツィの久々の会心作と呼べるでしょう。



UMBERTO TOZZI / LE MIE CANZONI : CGD (9031 75645 2) 1991

NOW LOADING!!  82年にローラ・ブラニガンの「グローリア」の世界的ヒットにより一躍注目を浴びたウンベルト・トッツィ。「グローリア」はトッツィのオリジナル曲で、79年の年間ベスト14位にまであがった大ヒット曲だったのです。そのトッツィの新録によるベスト・アルバムは名曲がぎっしり。ひげもじゃの顔ですが、デビューしたての76年頃はいかにもカンタウトーレ然とした好青年でした。彼の音楽は始めはメロディアスなフォーク調で、「グローリア」で開花するディスコ調の時期、そして現在のロッカー然とした男性ヴォーカルと、その時代々々に適応したしっかりとした作品を残しています。このベスト盤はそのどの時代の作品も漏らさず聴ける超お徳盤と言えましょう。1曲目の「IO CAMMINERO」は76年のファースト・アルバムに入っていた名曲で、ファウスト・レアーリが同じ年にカヴァーし 年間36位になる大ヒットを記録、イタリアではすでに人気作家の仲間入りを果たしています。


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