の後期アルバム群と同等の雰囲気を味わうことが出来ます。ゆったりとした時間、説得力のあるヴォーカル、適度な緊張感、そのどれを取ってもふたりの持ち味がふんだんに出ています。最後の「IL MAGO DI OZ(オズの魔法使い)」では、久しぶりにマウロのヴォーカルも聴くことが出来ます。さらにジャケットにもマウロは顔を出しており、まるでロベルトとのデュオ・アルバムのような扱いになっており、PFMファンは必聴といえるでしょう。
ROBERTO VECCHIONI / SOGNA RAGAZZO SOGNA : EMI (4 99119 2) 1999
1943年6月26日カラーテ・ブリアンツァ生まれのロベルト・ベッキオーニは、68年にミラノのカットーリカ大学で古文学士になり2年間に渡って宗教の歴史について学び、その後ギリシャ文明や古代ローマについて教えている文科高等学校に教師として赴任していました。同時に彼の音楽活動はオルネラ・ヴァノーニ、ミーナ、ジリオラ・チンクエッティ、イヴァ・ザニッキやヌオーヴィ・アンジェリなどに曲を提供することから始まります。71年にデビュー・アルバム『PARABOLA』を発表、73年には「L'UOMO CHE SI GIOCA IL CIELO A DADI」でサンレモ音楽祭に参加し堂々7位に入賞しますが、いかにもカンツォーネといった趣の曲でドメニコ・モドゥーニョやトニー・ダルラをほうふつとさせました。また同年発表された『IL RE NON SI DIVERTE』では、ミュージカル仕立てで10分におよぶタイトル曲が評価も高く圧巻です。75年にはあのバーバパパの音楽も担当しますが、彼の出世作は77年の『SAMARCANDA』でしょう。ロベルトの特徴はサーカスやカーニヴァルといった大衆性を持った音楽性と、対照的な深い叙情性にあります。
さて本作は2年ぶり22枚目のアルバムになりますが、冒頭のハードなギターと絡むシンセの音がまるでジェネシスの「ライト・ダイズ・ダウン・オン・ブロードウェイ」のエンディングに出てくるシンセにそっくりで、無性にわくわくさせられました。2曲目からはいつものロベルト節が登場し、ジャンフランコ・ロンバルディによるストリングスも加わり、ただただ美しい物語たちを堪能出来ます。ジャケットからもにじみ出ていますが、まるでアンジェロ・ブランドゥアルディのようなトラッドな部分と無垢な部分がうまく同居しています。最後にはお得意のサーカスのテーマが登場、彼のトレード・マークである葉巻を持った姿といつまでも子供の心を持ったユニークな発想が、私は大好きです。